自己啓発本の森を歩く〜カーネギーを超える本はあるのか??〜

同じような自己啓発本がなぜ多いのか?自己啓発本は何を教えてくれるのか?自己啓発本はなぜ売れるのか?なぜ自己啓発本の内容を実践できないのか?自己啓発本を読みながら考える

ストレスは克服すべきか、逃げるべきか、耐えるべきか

  

ストレスフリーな状態を望むなるがゆえに 

ストレスの発見によって人はストレスを感じるようになったとはよく言ったものですが、さらに言えばストレスが悪だと思えば、いかにそれを克服するか、もしくはいかにそれを感じずに過ごせるかに思い悩む=ストレスを感じることになるという、やや本末転倒な事態に陥るといえます。

 

ストレスの原因は身体的なものに由来する場合もあれば、心理的要因に由来する場合もあります。マインドフルネスや座禅が昨今はやるのも、人がいかにストレスから解放されたいと願っているかの表れといえるでしょう。社会には多くのストレス源が存在します。そして、われわれはストレスを感じない状態=善なる状態だと思っています。

 

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どうやったらストレスフリーな状態に達し得るかを考えたとき、最もわれわれに苦痛を与えると考えられている存在、すなわち会社からの脱退をわれわれは夢想してしまいます。それゆえ、ノマドやブロガー、フリーランスといった存在への憧憬が生まれるというわけです。しばしばストレスは対人関係から生じる以上、人との関係性の濃度を減らせるそれらの職種への憧れが生まれるのも道理です。

 

もっとも、多くの人がそれらの職種になればなるほど、そこはブルーオーシャンではなく、競争の激しいレッドオーシャンに成り果てるでしょう。レッドオーシャンで稼ごうと思えば、競争に勝つための努力や工夫が必要となり、どの過程ではしばしば苦痛やストレスを感じることもあるでしょう。

 

結局、われわれはストレスから解放されることは難しいと思われるわけで、それがいやであれば、外部が強制的にわれわれをストレスから解放してくれるのを期待するしかありません。さながら、伊藤 計劃の『ハーモニー』の世界といったところでしょうか。もしくは『マトリックス』的世界。

 

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私はモーフィアスが現れても仮想現実の世界のままのほうがいいと答えたいタイプですので、AIや遺伝子組み換え技術、ロボット、VRの発達によって働かなくてもいいし、自分のみたい夢を見せてくれる世界が早く実現してほしいと心底願ってします。しかし、現実にはまだ世界はそこまで至っていません。生まれるが少し早かったかと少し悔やんでいます。

 

というわけで、残念ながらわれわれはもうしばらくストレスと向かい合わなくてはならない時代を生きなければなりません。

 

では、ストレスにどう対処すべきか。

方法は大きくわけて3つあるでしょう。すなわち、克服する、逃げる、耐える。

 

メダリストに学ぶ 前人未到の結果を出す力

今回読んだのはこの本。

 

メダリストに学ぶ 前人未到の結果を出す力

メダリストに学ぶ 前人未到の結果を出す力

 

 

この本自体は一流のアスリートの名言を紹介して、筆者が仕事でもこの考えは応用できると2、3行で補足している程度なので、時間が有り余っていない限りあえて読む必要があるとは思いませんが、しかし、アスリートの言葉や生き方を読んで思うのは、彼らは苦痛やストレスをある程度前提または許容しているように感じられます。少なくとも、ストレスから逃げるというよりは、前進する過程で必然的に伴うものと捉えていて、克服ないしは耐えることを選択しているように思われます。

 

好きなことをしているから耐えやすいという側面はあるでしょう。とはいえ、夢ないし目標を達成するには並外れた努力を必要とします。その過程では苦痛やストレスを感じる時間のほうが喜びを感じる時間よりも正味で見れば長いかもしれない。

 

そうした強いストレス下にあるにもかかわらず前に進めるのは、そもそもの前提として「ストレス=悪」ではなく、「ストレス=ある程度しょうがないもの」、「ストレス=耐えるべきもの」、「ストレス=努力に際して付随してしまうもの」、「ストレス=超えたらその先には成長が待っているもの」といった、ある種の達観や受け入れがあるのではないでしょうか。

 

この本の副題は「Mental Toughness of Medalist」です。Wikipediaのtoughnessの定義を見れば、タフネスとは強さとしなやかさのバランスが重要で、エネルギーないし衝撃を受け止める上での力を意味する単語といえます。そこには逃げるという概念は含まれていません。

 

In materials science and metallurgytoughness is the ability of a material to absorb energy and plastically deform without fracturing.[1] One definition of material toughness is the amount of energy per unit volume that a material can absorb before rupturing. It is also defined as a material's resistance to fracture when stressed.

Toughness requires a balance of strength and ductility.*1

 

筆者がどこまで意識的にこの副題を付けたかはわかりませんが、アスリートを観察した結果、アスリートはストレスと向き合っていると筆者が感じたからこその副題なのだと思います。

 

ストレスから解放されたいというのはわれわれの見果てぬ夢ではあるのですが、(少なくとも当面は)どの世界にも成長や努力は求められ、どんなことでも楽しい局面ばかりではないとすれば、ストレスは「悪」ではなく、ときとしてそれは避けられず、耐えること(さらに欲を言えば克服すること)も必要という達観が必要なのかもしれないですね。

 

 

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